118回整形外科リハビリテーション研究会報告

2002.11.16 於:中部リハビリテーション専門学校

lecture   上腕骨顆部周辺骨折   岡波総合病院   猪田 茂生 先生
     上腕筋・上腕三頭筋
   吉田整形外科病院   林 典雄 先生
症例   右肘関節脱臼・上腕骨外顆骨折  高浜市立病院病院  藤井 亜美 先生
     左上腕骨外顆骨折
・肘頭骨折      碧南市民病院       藤田  里美  先生       

 lectureは先ず上腕骨顆部骨折について説明された。特徴・指標・分類が説明された。X-p上での計測や見るべきポイントも説明された。少なくともcarrying angle、橈骨近位骨幹軸に引いた線が上腕骨小頭を通ること、顆部と上腕骨軸のなす角度、fat pad signなどは重要な情報源であり、確実に確認できるようにしておきたい。各論としては上腕骨顆上骨折、内側上顆骨折、外顆骨折、滑車骨折、小頭骨折、通顆骨折、顆間TおよびY字骨折が資料等をもとに説明された。それぞれの骨折には特徴があり、受傷機転も様々な状況が考えられる。特に骨折か靱帯断裂か、脱臼の状態や方向等その後の治療で重要な情報となるものが隠されていることがあるため、十分に情報を得ることと、opeでの固定性の確認等も確実に行いたい。触診については上腕筋、上腕三頭筋内側頭・外側頭について行われた。上腕筋については上腕二頭筋と共に肘関節屈曲に働くが、肩関節を屈曲位にして肘関節屈曲時に前腕回内をしながら行うことで上腕二頭筋をより排除した形で上腕筋を触診する。上腕筋は比較的広く深部に存在するため、触診は可能である。特に上腕骨骨折では重要な因子になるので、触診だけではなく、筋活動が誘発できるように工夫したい。関節包との連絡があるため、前方関節包のmobilizationにも有効となる。上腕三頭筋については長頭を排除するために肩関節を伸展位にして行う。内側頭と外側頭は上腕骨の橈骨神経溝を堺にして上部と下部に存在するためおおよその位置関係は把握できる。肘伸展にて活動させ、それらを判別する。これについても同様に筋活動を十分に出せるかどうかが重要である。当然後方関節包に連絡するため関節包に対するmobilization効果も期待できる。それぞれ筋収縮を上手く出せるようポジションや方法論を工夫されたい。

  72歳女性の右上腕骨外顆骨折(AO分類13-A1.1)・肘関節脱臼の症例が呈示された。転倒にて肘をついて受傷。保存にてcastingを行ったが、2W後転移が認められopenにてK-wireにて固定しcastingが行われた。ope後2Wにてリハ開始。1w後退院にて外来となっている。初期評価時浮腫強く、疼痛もあり、肘屈曲95度、伸展-55度、回内外45度程度であった。約2ヶ月後の現在肘屈曲130度、伸展-35度、回内外ほぼ改善した。今後の理学療法の検討になったが、X-p上でも脱臼が近位橈尺関節が一塊になって後外側に脱臼していることから関節包、特に内側はかなりの損傷が示唆された。屈曲制限についてはMCLを中心とした軟部組織の制限が考えられた。比較的改善傾向が見られるため、今後も同様にターゲットを絞っていくことで改善が期待できると考えられる。屈曲も重要ではあるが、経験上伸展の改善の方がなかなか進まないことがあるため、今後の治療に期待したい。

  66歳女性の左上腕骨外顆骨折・肘頭骨折の症例が呈示された。自転車走行中転倒にて受傷。多数骨片を認め、細かな骨片は摘出し、大きな骨片をK-wire、螺子にて固定した。LCL、筋創を修復した。castingにて固定。4W後offしてリハ開始。浮腫強く、上肢全体に疼痛訴えていた。屈曲は85度、伸展-55度、回内外は疼痛にて不可であった。途中転倒にて肘頭骨折を合併。保存療法となり、訓練が停滞した。最終的に屈曲110度、伸展-15度、回内外は改善し、疼痛も動作開始時のみとなった。何とか指先が鼻に触れる状態で、ADL上あと5度でも改善できないかが検討された。X-p上の骨折状態、整復および固定状態から関節面の不整、alignment不良が認められることなどから、少なくとも現状でも良好な結果であると考えられた。今後は逆に改善と共に不安定性が出現することが危惧された。受症後5ヶ月経過しており、どこまで目標としてfollowするのかが難しい問題である。本人の欲求と治療の追求と時間的背景と様々な要素を考慮して対処する必要もあり、非常に難しい問題ではある。今後の経過を待ちたい。
                                     文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣