125回整形外科リハビリテーション研究会報告

2003.6.21 於:名古屋法律経済専門学校

lecture   手根不安定症について      石切生喜病院      竹岡 千里 先生
     手根骨周辺palpation
      石切生喜病院      中図  健 先生
症例   橈骨遠位端骨折後手根不安定症  石切生喜病院      中図  健 先生     橈骨遠位端骨折         吉田整形外科       先生
          

 lectureは手根骨周辺のpalpationを行った。特に近位手根列は治療において重要な要素であるため、より正確な触診が求められる。舟状骨は中間位で約40度程度掌屈している。触診するときもその形状をイメージしておく必要がある。背屈にて水平化し、掌屈で垂直化する運動学的特徴を理解して触診して、誘導する必要がある。また、Lectureの中でも説明されたが、橈尺屈に伴って手根列は掌背屈する。治療としてmobilizationにおいてダイレクトに掌背屈するのみではなく、橈尺屈も使用して動きの出しやすく、痛みの少ない方を選択するといった工夫も可能と考えられた。会場を回ると触診時検者に過剰な力が入っており、情報をスポイルしてしまっている光景を目にした。極力リラックスして余分な力で圧迫をすることで情報を見逃さないようにする基本技術の習得が求められた。普段の臨床から気を付けて意識していきたい。
 Lectureは手根不安定症について行われた。基本的には靱帯等の軟部組織に由来するalignment異常が存在する。VISIやDISI変形もそれらの中に含まれる。近位手根列は筋の付着部を持っておらず、力源がないため遠位手根列から靱帯を介しての介達力によってのみ運動が行われる特徴を持っており、それ故に手根不安定症は直接手関節のROM制限に関与する。しかし、橈骨遠位端骨折に伴って発生することもあると考えられるが、診断が困難な面もあり、症状としては存在するが診断名は付いていないことがままあると考えられる。そのため診断名よりも触診した状態での症状を見逃さないようにし、丁寧に評価をする姿勢を持つことが重要である。

 63歳女性 橈尺骨遠位端骨折後手根不安定症の症例が呈示された。階段より転落して受傷。pinningを施行したが、不安定性あり2週間後に再度創外固定を施行。約8週間固定し抜去しリハ開始となった。回内外と手指はさほど制限はないが、掌屈40度、背屈35、橈屈0度、尺屈40度であり、あり、CCは回外にて尺側部に痛み出現、しびれ感があった。X-p上は橈尺関節の離開、茎状突起離開、月状骨硬化像等が見られた。骨折後のalignmentとしてはさほど悪くはなく、状態から月状骨の動きが十分に出せていないことが想像された。靱帯性の制限があり、十分治療対象となり改善が望めると思われた。骨のatrophyからもRSDの初期のような状態と考えられるが、靱帯を狙った動きを出すことで、月状骨に対する余分なストレスをかけないように誘導しながら治療することで痛みは抑制できると考えられた。今後はまだ改善の余地が十分に予想できるので、靱帯を狙った丁寧や誘導による治療を行うことが重要であるとのことであった。
                                       (文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣)