126回整形外科リハビリテーション研究会報告

2003.8.30 於:名古屋法律経済専門学校

lecture   上腕骨近位端骨折について       吉田整形病院   田中 幸彦 先生
     肩関節周辺palpation・stooping-ex
   吉田整形病院   鵜飼 建志 先生
                       岐大医学部附属病院 田中 和彦 先生
                        桑名市民病院   松本 正知 先生
症例   上腕骨近位端骨折         平針かとう整形外科  岡西 尚人 先生   
       

 lectureは先ず上腕骨近位端骨折に対する分類、整形外科的治療の紹介が行われた。分類としてはNeer分類が一般的であり、その内容について説明がなされた。賛否両論あるがstandardな分類法として記憶しておきたい。我々PT・OTとしては分類が正確にどうこうと言うことではなく、各症例によって異なる骨折の状態をより性格に把握することが重要である。治療を進めていく上でも重要な情報源であるX-pの読影に慣れておきたい。整形外科的治療においては保存、髄内釘、フックプレートが紹介された。保存では固定法の種類が提示された。実際の臨床上で見るものではなかったが、基本的な考え方は同様である。一般的にはストッキネットデゾー固定や三角巾バストバンド固定が行われることが多いと思われる。髄内釘についてもJ型鋼線使用し逆行性に固定するもので、実際には経験が無いので詳細は語れない。プレートについてはフックのピンの位置や長さにより屈曲方向、回旋方向に対する固定性が左右されることなどが説明された。理学療法としては早期からのstooping-exが中心となる。如何に筋をリラックスさせた状態で、完全なpassiveにて究極に管理された状態でのgleno-humeralでの関節運動が維持できるかが究極的な目的である。あくまでも関節運動制限を作らないように健常な状態を維持できるかが問題となってくることが確認された。その後、実際にpalpationとsooping-exの実技指導が行われた。上腕骨の形状および位置関係を先ずはより性格に把握することが重要である。stoopingにおいては肩胛骨のより有効的な固定法や注意点などが説明され、実際のデモに続いて各グループに分かれて実際に行った。言葉で表現されると理解はできるが、実際に行ってみるとなかなか上手くできないといった意見が大半を占めていた。これについてはある程度経験が必要であることは言うまでもないが、常に自分に跳ね返ってきている多くの情報を敏感に感受して、理解し、対処することを念頭に置けばより正確な治療ができてくるものと考えられる。ただ漠然と行うのではなく、行っている最中に常に自己評価を随時入力されている情報を元に行うことが重要と思われる。実際の臨床ではさらに行いにくい状況が発生することも十分に予測されるため、しっかりとした環境の元行ってほしい。当然早期に行うほど成績は良好になる傾向はあるが、時期だけでは無いことを十分に理解しておくことを切に願いたい。各自の自己研鑽を期待したい。

 42歳 男性の右肩関節脱臼骨折の症例が呈示された。酒に酔っていたということで受傷機転等詳細は不明であった。他院にて受症後すぐに観血的に整復し、骨片を可及的に整復し軟部組織共にナイロン糸にて固定し安定化を図った。術後約3週にて受診し訓練が開始された。現在は屈曲110度、外転90度程度、X-p上glenohumeralにて下方への転位が認められた。大結節も反転して上方へ反転転位も見られた。今後のROM改善について検討がなされた。フロアからは不安定性と拘縮の併存ということでなかなか理解がしにくいとの意見が多かった。ROM検査の結果から柔軟性の低下が示唆される軟部組織は予測できるが、それがどの時点での問題から発生したのかは理解しにくかった。まとめとしては骨の位置関係や状況からope由来の因子が大きいことが考えられた。状況から棘上筋等cuffは効いていないことが予測され、当然他の軟部組織についても柔軟性の低下が存在するが、今後ROMの改善を図って治療を行ったとしても、passiveでのROMが改善するだけで、実用的な肩が獲得できるかといった面からは否定的であった。本人が希望するのであれば、ROMは改善するよう治療をして、さらに機能獲得を目的としたre-opeが必要であろうとの結論に至った。非常に状況としては難渋する症例であるといえる。初期治療の重要性と可能性をどこで線引きして次の方法論に進めるかを考えなければいけないといった症例であった。我々もいたずらに時間を費やすことがないよう、正確な判断に伴う決断を求められる症例があるということを理解しておきたい。                                                (文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣)