131回整形外科リハビリテーション研究会報告

2004.02.17 於:名古屋法律経済専門学校

palpation  肘周辺組織palpation          桑名市民病院  松本 正知 先生
症例  上腕骨顆部骨折           吉田整形外科病院  山嵜 雅美 先生
    肘MCL損傷             吉田整形外科病院  山嵜 雅美 先生
     上腕骨顆上骨折・橈骨遠位端粉砕骨折      国立豊橋病院     村山 泰則 先生     
 
 palpationは肘周辺組織について行われた。骨、筋、靱帯と順を追って行われた。3次元的に骨の位置関係を確認して、様々な方向からどういったイメージなのかを図を使用して視覚的に確認した。それに従って実際にランドマークとして骨を触診した。その後筋の3次元的走行を確認し、収縮・伸張を行った。最期にMCLを線維に分けて、AOL・POLをそれぞれ触診した。特にAOLについては周辺に筋があり触診しにくいこともあり、各自消化不良の部分が多々あると思われるため、実際の臨床で丁寧に確認作業が必要と思われた。

 症例1は21歳 女性 上腕骨内顆骨折の症例が呈示された。スノーボード損傷である。受症後シーネ固定にて他院入院、12日後肘頭骨切りにて進入して内外側プレート固定、内顆は別にスクリュー固定し、肘頭はzugにて固定しギプス固定。2W後ギプスカットしてリハ開始。ROMは屈曲70度、伸展-60度、回内30度、回外40度であった。edema除去、筋リラクゼーション、関節包ストレッチを中心とした治療を行った。現時点では屈曲110度程度、伸展-30度程度と改善してきていた。今後も含めて検討された。整復については比較的丁寧に行われており、時期を考慮すれば特に問題はなく進められると考えられた。関節内骨折では出血が多く、線維化するため、可及的に早期に屈曲角度を獲得させることが肝要で、経時的にどんどん線維化が進んでしまうことで、制限因子が増強かつ強固になっていく事が考えられた。ただ、肘頭骨切りしてzugを行っているため早期には屈曲方向は安定するが伸展方向は理解ストレスになる可能性があるため時期を考慮して行っていく必要が挙げられた。筋の活動を出していくことも挙げられたが、損傷の程度から筋活動が行いにくい環境にあることが考えられたため、筋収縮のみに頼ることなく時には徒手的な操作を行う必要もあると提言された。

 症例2は28歳 男性 左肘MCL損傷の症例が呈示された。スノーボード損傷である。受傷後ギプス固定して1W後に来院。上記診断にて受傷後10日でope施行。靱帯および筋膜縫合しギプス固定。ope後12日でカットしてリハ開始されていた。リハ開始時で何を考えて治療を進めていくべきかが検討された。現在の時点でROMはほぼ問題ない状態となっていた。治療としては筋に対してリラックスできる状態を作り、伸張性を出していくことで角度は獲得できると考えられた。問題は靱帯縫合のため時期的にどう進めていくかが議論された。靱帯としては強度を考慮してさほど急がないで、ストレスをコントロールした方がいいとの意見があったが、靱帯の伸張性のみならず、滑りの動きも出していく必要があることや、癒着防止のためにも可及的にストレスをコントロールしながら早期に獲得をしていった方がいいとの提言があった。POLについてはopeにて縫合しない場合もあるとのことだが、靱帯については安定性と可動性といった複雑な機能を要求される。ope後も過剰なストレスは靱帯の過伸張やギャップ、断裂といったリスクを伴うことも意識に於いて、かつ経時的変化を考慮しながら可及的速やかな治療が求められる。意識して治療に当たりたい。

 症例3は昨年11月に呈示した42歳女性の右上腕骨顆上骨折、右橈骨遠位端粉砕骨折の症例が、その後抜釘に併せて授動術を行ったため、そのope後として再度呈示された。授動術前は肘屈曲90度、伸展-45度、回外20度、回内10度であった。授動術中は屈曲120度、伸展-40度、回外45度程度であり、その後リハ施行し、現在屈曲115度、伸展-50度、回外65度、回内20度であった。今後のリハについて検討された。症例としては非常にシビアであり、骨alignmentも悪く、骨萎縮も強く、限界はあると考えられた。しかし術中角度に近いところまでは来ているので、術中角度を目標に可及的に早く屈曲を獲得する様に努めたい。長期的経過から筋の活動も低下していると思われるため、直接筋に対して徒手的な操作も加えながら行う必要があると提言された。伸展についてはある程度残存することが予想される。初期の固定性やalignmentの状態によって結果は大きく左右されるため、逆にそれを越えた過剰なストレスを加えることは他組織の損傷を惹起させる危険性もあるため、十分な確認の上で十分かつ安全な方法論を展開できる様にしていきたい。

                                      (文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣)