134回整形外科リハビリテーション研究会報告

2004.05.15 於:名古屋法律経済専門学校

31歳 男性 右肩鎖関節脱臼(Tossy分類V度)
転倒にて受傷。一週間後ope施行(Neviaser-山本変法)し、三角巾固定。術後6週にて抜ピンし三角巾固定除去にてPT開始となる。初期評価時屈曲40度、外転30度、1st外旋0度であった。外来にて治療を行い、術後15週超の現時点で屈曲105度、外転95度、1st外旋15度、2nd外旋25度、3rd外旋45度であった。筋力も概ね3~4レベルであった。疼痛は肩関節上前面にあった。ビデオにて患者の状態を確認した。その後グループにて検討した結果、制限についてはROMの結果からG-Hに起因している事、ターゲットとしても経時的に多くの組織が関与している事が想像に難くないが、capsule、C-H lig、rotator interval、cuffが挙げられた。まだ肩峰下の通過障害が残存している事からも、丁寧に周辺組織の柔軟性を上げていく事が重要となる。また、術後固定にて6週放置されていた事にも言及され、早期治療の重要性を再確認した。初期治療と現在の治療では対象とするものが違い、方法論も全く異なってくるので、時期に合わせた適切かつ有効な治療が出来るよう評価していく事が肝要である。

28歳 男性 右反復性肩関節脱臼
1年半程前にスノーボードにて初回脱臼。その後2回脱臼歴あり。今回スローイン時に脱臼。2日後鏡視下Bankart法施行。術後3日よりリハ開始。三角巾バストバンド固定施行。Drより術後2ヶ月は外旋40度、屈曲90度までで制限された。ope後1週の時点で屈曲90度、外転90度、1st外旋0度、2nd外旋25度、3rd外旋60度であった。今後外旋角度はどこまで追及するのか、どのように進めていくかが検討された。経過からも組織の支持性低下がうかがわれた。検討の結果、外旋角度については制限を作る必要は無く、左右差無い状態まで追及しても問題は無いと考えられた。ただ組織の支持性を考慮して早期からではなく2〜3ヶ月かけて結果的に制限が無い状態にしていくのが望ましいと考えられた。ROM制限についてはさほど困難ではないと考えられるため、逆にcuffを中心とした筋の活動性を十分に上げられるように考慮していく事が重要と結論付けた。初回脱臼であればROMに対して考慮する必要はあるため、損傷した組織を局所的に安静を保ちながら他の組織、得に後下方の組織に対しての柔軟性の維持を目的とした治療が求められる。そのためにもダイナミックな組織の緊張の変化を理解しておく必要がある。経過に合わせた治療計画を立てられるようにしておきたいものである。

40歳 女性 左脛骨高原骨折、ACL・PCL付着部剥離骨折
階段より転落して受傷。3日後ope施行。castingにて3週後よりリハ開始。その後patella開窓したが、動きはほとんど見られなかった。術後4週でcast off。30度伸展制限付き装具装着にてROM訓練開始。初期時屈曲40度、筋収縮もほとんど見られず。約4週間で屈曲75度、伸展−30度、lag20度の状態で関節鏡、観血的関節受動術施行。その後訓練時間は20〜30分程度で、病棟ではCPMを施行していた。受動術後3週で週2回の外来通院となった。初期治療の方法論、受動術後の方法論、伸展制限に対する治療について検討された。X-p上からの情報では固定性が不充分で手術自体に問題があると思われたため、初期治療についても限界が有ると思われた。また骨癒合も十分とは言い難い状態での受動術についても判断に苦慮する選択であると言わざるを得ない状況である。現状においては伸展制限を可及的に改善するようにして、伸展機構の活動性を上げる事で屈曲を改善させていく事が肝要である。また治療時間や頻度が現状では少なく、可能であれば入院にて対処する事も考慮する必要があるとの意見もあった。PTのレベル以前にDrの治療方針によっては結果が大きく左右されることも事実である。PTのレベルでの限界は当然存在するため、悪戯に時間を経過させる事にも問題はあるため、考慮するべきことではある。非常にミ・ゼラブルな症例である。可及的に対処し、ADL上の制限を軽減させていく事が中心となると考えられた。
文責:国立鈴鹿病院 岸田
                                      (文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣)