136回整形外科リハビリテーション研究会報告

2004.08.21 於:日本医療専門学校

症例:19歳 男性 
右脛骨遠位端解放骨折、右腓骨骨幹部解放骨折、右母趾基節骨解放骨折、右第3・4・5中足骨骨折 
手術:plate・螺子固定

 6月に車運転中事故にて受傷。直達牽引後10日後整復のみ行い、更に7日後手術施行。ギプス固定するも腫脹強くシャーレに変更。受傷後7週後、術後5週後にリハ開始となった。更に受傷後9.5週で1/3荷重を開始した。初期評価ではMMTで4レベル、背屈-10度、底屈10度、足背内側から母趾で触覚重度鈍麻、足底の内側から母趾感覚中等度麻痺あり。下腿萎縮有り、内外果・足背に腫れ有り。底背屈にて足関節前面に疼痛有り。下肢を下垂すると30秒程度でしびれ感が出現した。足背動脈の拍動も減弱していた。治療として浮腫除去、選択的筋収縮、雑巾がけによる自動運動、足底挿板装着下での歩行を行った。結果現時点でMMT5レベル、背屈5度、底屈20度、感覚・萎縮・動脈拍動減弱・疼痛は変化なく、破行にて歩行中2分程度でしびれ感を足部全体に 訴えた。ビデオにて状態や歩行を確認した。今回はグループに分かれて、それぞれ背屈制限、底屈制限、シビレおよび歩行障害にテーマを絞って検討した。各グループからはROM制限については筋による制限、関節包・靱帯由来の制限が挙げられ、シビレは血管性・神経性の原因が考えられること、破行による歩行を装具等にて改善させていく必要性等が挙げられた。最後に林先生から総括レクチャーが行われた。ROMについては先ず原因を探るためにも疼痛の再現性を検索する必要があることが強調された。それにより治療対象が明確化される。初期に腫脹にてシャーレに変更されている経過からもコンパートメント障害が考えられ、解放骨折という強力な外力にて損傷した組織は損傷が大きく、筋組織自体もしかり、血管や神経もしかりである。また底屈制限からも伸筋支帯部での癒着・滑走障害が考えられた。荷重時痛もそれら神経的な問題に縛られず、足部由来の疼痛を評価する必要性が説明された。荷重による足部の変化を理解するよう詳細な説明がなされた。また選択的筋収縮も行っているつもりにならないで、確実に筋収縮が起こっているかどうかを評価することと、伸張位での筋収縮の有無のみでなく、短縮位での筋収縮が出せる、いわゆるアンプリチュードを改善していく事が重要であることも説明された。その後浅野先生より歩行障害についてレクチャーが行われた。再度ビデオにて歩行分析を各グループに分かれて検討した。その上で歩行と重心、アライメントの考え方が説明され、補高にて重心線をコントロールすることの重要性とメカニズムが説明された。歩行をすることで組織に対する刺激を加えていき、ROM訓練となるように工夫していく方法論が説明された。荷重にとらわれることなく、歩容を分析して、治療に直結する方法論を模索していく必要性が理解できた。                       (文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣)