137回整形外科リハビリテーション研究会報告

2004.10.16 於:日本医療専門学校

症例1 41歳男性。上腕骨骨幹部骨折(AO分類B1-2)、橈骨神経麻痺 手術:platescrew
 乗車中に側方より追突されて受傷。翌日、他院にて手術施行し、約5週固定していた。リハは2週目より手指可動域訓練より開始し、翌週よりfunctional brace装着下にて肩関節可動域訓練を施行していた。受傷より5週経過時に当院受診し、当院におけるリハを開始した。初診時は肩関節屈曲70°、外旋46°、肘関節屈曲48°、伸展-20°、前腕回内50°、回外18°と著名な制限を呈しており、橈骨神経の損傷により支配領域における感覚障害を認めた。また、筋力(MMT)は上腕三頭筋・長橈側手根伸筋:2であり、遠位部での支配筋はMMTにて0で下垂手を呈していた。検討項目として当院に来院するまでのリハ及び今後のリハについてグループに分かれた上で検討された。グループから当院を受診する以前のリハとして、浮腫管理の実施、手指・手関節の可動域維持、総指伸筋のamplitudeexcursionの維持が重要ではないかと考えられた。また、現在・今後のリハに関しては、骨癒合不全を配慮した肩・肘関節可動域訓練を行う事によりまずは十分な可動域を獲得することが必要であると考えられた。また、超音波(セーフス)の使用や筋収縮を促す為に低周波・クロナキシーとの併用を考えて実施する事で今後、本症例において筋力が回復するかがポイントとなり、機能再建術を含めて今後のリハをどのような状態としておくかが重要になってくると考えられる。
                      (文責:吉田整形外科病院 宿南 高則)

症例1:41歳 男性 右上腕骨骨幹部骨折・橈骨神経麻痺
 交通事故により受傷。他院にて2日後plate+screw固定術施行。ope後2週後よりリハ開始。その後1週でfunctional brace装着にてリハ行うも肩関節回旋は施行せず。ope後5週にて転院して直接リハ開始となった。初診時の状態は肩関節屈曲70度、伸展30度、外転40度、外旋45度、内旋65度、肘関節屈曲48度、伸展−20度、前腕回外50度、回内20度、手関節掌屈30度程度であった。可動域制限に対してリハ施行した結果、現在の状態は

症例2:33歳男性 #1右大腿骨開放骨折・#2右脛骨開放骨折・#3左股関節脱臼骨折
手術:#1に対し創外固定→Ender釘、#2に対し創外固定→Ender釘→髄内釘
作業中に廃棄物収集車に巻き込まれ受傷。同日、他院にて大腿骨・脛骨共に開放骨折の為創外固定施行。約4週後に下腿部皮膚(軟部組織)欠損部に左大腿外側皮膚を用いた有茎筋皮弁植皮術施行。受傷後6週で、大腿骨・脛骨骨折部の創外固定抜去し
Ender釘による骨接合術施行。受傷後12週経過した時点で脛骨骨折部の仮骨形成認めなかった為、Ender釘から髄内釘へと移行した。受傷後13週経過で当院転院し、リハ開始となる。当院転院まではリハは行われていなかった。初診時、右下肢には浮腫が存在し、右膝関節屈曲40°、伸展−20°(hipの肢位変化によって膝関節ROMに差は無い)、足関節背屈−5°、底屈40°、右膝蓋骨の動きはどの方向にも制限が著明であった。この症例について、今後どのような方向性でリハを進めていくべきか、また、リハ施行上の注意点等について検討が行われた。まず、荷重が許可された時点で歩ける足(下肢)にしておく必要があるので、膝関節については屈曲よりも伸展優先で治療を行っていく方向が良いのではないかという意見が出された。また、大腿骨骨折の固定材料がEnder釘である為、膝関節屈曲を行う際には骨折部に過度なストレスがかからないように配慮が必要かと思われる。今回の症例では、右下肢の軟部組織損傷範囲が広くかつ、仮骨形成が不十分であるので、どこを優先に治療を進めていくか悩まされるものであるが、歩く事が獲得できるように下肢関節のROM改善を行う事が求められるのではないか。
                                           (文責:岐阜中央病院 小野 晶代)