138回整形外科リハビリテーション研究会報告

2004.11.20 於:日本医療専門学校

症例1 48歳男性。右肩甲骨体部骨折
 会社にて腕相撲開始直後に受傷。受診にて上記診断となり、三角巾による保存療法となる。約3週後リハ開始。初診時肩甲骨下制、外転、下方回旋、前傾を認めた。腫脹熱感はなかった。肩関節屈曲30度、外転30度、1st外旋70度、内旋65度、肩甲棘下部から骨折線に沿って圧痛が認められた。現在の状態は屈曲120度、外転90度、水平外転20度、外旋1st40度、2nd20度、3rd70度、内旋1st65度、2nd20度、3rd10度、圧痛は骨折部に残存、運動時上腕骨上部後外側部に訴えた。検討としては受傷機転、これまでのアプローチ、現在のアプローチの是非と今後のアプローチについて行われた。検討の結果、受傷機転は模索されたが明確にはわからなかった。最終的には手指から始まる全体のポジションを想像しながら筋の活動を予測していきながら肩関節を介して肩甲骨に伝わる力を想像するしかなく、上腕三頭筋、大円筋、肩甲下筋あたりの収縮と僧帽筋中部線維を中心とした肩甲骨を上方回旋、内転させる筋との間での剪断力によるものではないかとの予測であった。アプローチについては早期からstoopingを行うことが挙げられたが、肩甲骨の固定方法が難しいこと、筋のリラクゼーションができていないと骨折部に対して理解ストレスを加えることが危惧された。方法論の工夫についてもデモにて行われた。しかし、肩甲骨骨折自体は前後から筋にて包まれており、シーネ様になっており、転移も少ないと言われていることから、さほど神経質にならないで行っても良いのではないかとのことであった。また肩甲骨が固定されている事だけではなく、肩甲骨自体が動くことで肩甲胸郭関節の制限を作らないようにする配慮も必要との事であった。今後は受傷後8週経過していることから、骨折部の安定性は得られていると判断できるため、いわゆる拘縮肩として通常の治療を進めていけば問題はないとの結論となった。本症例は非常に珍しい症例でもあるため、筋活動を解明して一例報告できるよう今後まとめていってもらいたい。

症例2 33歳男性 左小指基節骨骨折 クロスピンニング
 飲み会にて口論となり胸ぐらを掴んで押し倒した時に受傷。近医にて上記診断となりシーネ固定。3日後pinning施行。3週後に抜釘しシーネ固定。現在腫脹残存、MPは問題ないが、PIPはROMは0-10-20、DIPは0-0-30。PIPは尺側方向に多少緩い感触があった。実際に症例を診察することができたため、直接診ながらの討論が行われた。問題としては現状においてまだ腫脹が残存していること、DIPの制限が存在することが挙げられた。pinningの状態で早期より固定をしながらであればDIPを動かすことは可能で、腱の癒着等が予測されるため、先ずは周辺関節であるMPとDIPの可動性を維持しておくことが重要である。その上でPIPのみの治療ができる状態にしておくことが寛容である。
現状においては癒着等から来る拘縮であることは明白であるため、今後は屈曲を推し進めていくしかないので、関節面に対するベクトルを考慮した状態で有効的な力が働くように治療を進めていくことが必要となる。同時にスプリントを併用して持続伸張も必要となってくると考えられる。これについても同様にベクトルを考慮してより安全に有効的な力が適度に加わるように作成して行っていく必要がある。PTが受傷することは多々あるとは思われるが、PTとして如何に有効的な治療を的確に行っていくかが問われてくる。自らできるかどうかは別にして、治療を進めていけるようにしていきたいものである。                (文責:独立行政法人 国立病院機構 鈴鹿病院 岸田 敏嗣)