139回整形外科リハビリテーション研究会報告

2005.01.15 於:日本医療専門学校

症例1 18歳女性  左上腕骨顆部骨折・左尺骨神経麻痺
 3m程度の高さから転落して受傷。肘伸展位で地面に着いたとのこと。肘頭を骨切して展開、骨折部を確認しmultipulpinning
施行。その後肘頭をzug法にて整復しシーネ固定となる。その後尺骨神経麻痺症状が出現し、2週後に尺骨神経剥離術を施行。その際MCLを切離し展開したとのことだが、詳細は不明。再度シーネ固定し、受傷後3週にて装具装着にてリハ開始となった。現在では毎日外来にてfollow中とのこと。経過としては初期時肘屈曲80度、伸展-30度、回内0度、回外85度、尺骨神経麻痺症状残存であった。その後現在は肘屈曲125度、伸展-25度、回内外は改善。尺骨神経麻痺症状は改善傾向にある。しかし神経伸張位にするとしびれ感増悪するとのこと。これまでのアプローチの是非、今後のアプローチについて検討された。各グループから出された意見としては、三頭筋内側頭、上腕筋といった深部筋の活動を出して、伸張生を挙げていくことで改善を狙うこと、pinの影響があるのであれば抜pinまでは無理しないで軟部組織の柔軟性を挙げておくこと、MCLのPOLに対するアプローチ等が挙げられた。時期的には比較的順調に来ていると思われた。原因としては深部軟部組織で異論はないが、具体的な方法論としては再度考慮する必要はある。VTRにて確認した各筋の収縮方法が不十分に感じられたため、確実な収縮が行えるようにポジションや確認を確実に行う必要があると思われた。更に時期的には癒着が予想されるために、ただ筋収縮を行うだけに留まらず、直接深部筋に対するリリースとしてのアプローチも必要になると思われた。

症例2  77歳女性  左大腿骨顆部骨折・変形性膝関節症
 転倒にて受傷。入院にて直達牽引3kg施行。1週後逆行性kuntscher施行。二本の横止めにて不安定性があったため、更に1本螺子固定を行って固定性を確認した。外固定はなく翌日よりリハ開始となった。術中角度がDrより90度ということで、目標も90度とされていた。経過としては屈曲50度、伸展0度、patella可動性非常に少なく、外上方へ変位していた。屈曲時皮切部に伸張痛あり、遠位螺子刺入部に圧痛があった。現在術後1週であり今後如何にプログラムを進めていくかが検討された。意見としてはpatellaの可動性が低いことから、quadの筋収縮を促通していきながらリラクゼーションを促し、更にポジショニングを考慮しながら可動性の改善を図ること、深部筋としてvastusの筋活動を出していくことが挙げられ、伸展が維持できていることから、今後も維持して筋による伸展が十分にできる状況を保持しておくことも重要との意見が出された。骨折部に対する不安感があるため、強くpassiveは行えないとの意見も出された。また逆行性kuntscherの選択の是非と適応についての疑問も挙げられた。一応Drとしては外固定を行わなかったことから固定性は良好であると考えられる。そうであればROM訓練程度のストレスで動くようなものではないと考えられるため、深部の伸展機構の筋収縮を含めて柔軟性を積極的に行っていくことが必要とのことであった。最近は骨幹部であっても顆部であっても比較的細い髄内釘を使用することが多くなってきているとのことであった。plateに比較して手術侵襲が少ないこと、内外骨膜性仮骨の抑制が少ないことなどが選択される要因とのことであった。固定性が良好であれば積極的にリハは行えるとのことであった。またDrからの90度目標の理由が不明のため今後確認が必要になるかと思われた。特別な理由がなければ120度程度を目標とするのが妥当とのことであった。

症例3  58歳女性  左上腕骨近位端骨折
 バイクにて転倒して受傷。骨折は4partであった。4日後LHSP施行。術後5日でリハ開始となる。術後4週で三角巾にて振り子運動開始した。最新のX-pにて肩関節完全脱臼がわかり、現在ではactive禁止で、振り子運動のみpassiveで許可が出ているのみの状態である。今後の治療方針について検討された。受傷時の骨折型からは今後骨頭壊死の可能性は否定できない。しかし現時点においてはそれを考慮した治療は必要ないと思われた。意見としては脱臼していることからstoopingを行うにしても骨頭を求心位に保持した状態で行う必要性があるため、通常のstoopingではなく、bed上に上腕を置いて上肢の重力を排除した状態で行う方が良いのではないかといった意見が出された。現状においてはpassiveしか許可が出ていないことからそういった方法論が妥当であると思われる。脱臼については腱板の損傷があるかは不明であるが、断裂がなくてもこういった症状を出すことがあるとのことで、明確な原因は不明であった。関節包の断裂による関節内圧の上昇や肩甲骨の下方回旋等が考えられた。脱臼している状態からも今後拘縮が発生することは考えにくく、どちらかというと骨頭の求心位をcuffの活動にて如何に確保するかが予後を左右すると思われた。stoopingによる可動域の確保、軟部組織の柔軟性は確保し、確認しておくことは必要ではあるが、如何にcuffを上手く働かせかが鍵になる。下方脱臼から上方のcuffは効いていないことが考えられる。そこに対する促通は必要ではあるが、その他のcuff、特に下方のcuffについてはelongationされていないことから活動性が出ることで有効に骨頭の求心位を保持する可能性があるため、activeが可能になったら、如何に下方のcuffを早期に有効的に活動させられるかが求められる。手技的には難易度が高いが、試行錯誤しながらトライしていくべきないようであると思われた。結果だけで考えるならば、farst choiseに人工骨頭の方が経過的にも早く結果が出ることが考えられる。X-p上からも飛んだ大結節が不明瞭ではあるため、上方cuffの有効的な活動の如何が危惧される状態ではあるため、今後経過を観察しながら可及的に治療を進めていく必要があると思われた。

症例4  77歳 男性  左鎖骨骨折、左肩甲骨骨折
 山で樹を切っている時に樹が前方より倒れてきて肩にぶつかり受傷。1週後鎖骨はZug法施行。肩甲骨は保存にて三角巾固定となった。ope後4週にてリハ開始となった。現在の状態は挙上100度程度。1st外旋30度であった。今後の治療方針について検討された。肩甲骨はかなり複雑な骨折を呈しているものの、頚部の骨折部の転移は認められなかった。プレゼンでは肩甲骨の動きが出ておらず、G-Hの動きは十分にあるとのことであった。しかし挙上時の写真を見るからに肩甲骨の上方回旋が強く、皮膚や筋の状態からG-Hが動いていないことが伺われた。鎖骨骨折からも上方軟部組織の炎症は十分に考えられ、外旋制限や結滞動作の制限からも上方組織の柔軟性低下は十分に考えられた。肩甲骨についても骨折が多数存在することから肩甲胸郭部での動きに制限が出る可能性は十分にあることや、肩甲下筋の影響による外旋制限も存在すると考えられるため、状態としては通常の拘縮肩の治療に準ずると思われた。時期的にも6週経過しており、骨折部の安定性は問題ないと思われるため、積極的に可動域に対する治療を行っていく事が挙げられた。X-p上は派手な骨折ではあるが、最終的にはG-Hの動きを如何に維持しておくか、この時期では如何に改善させるかが結果を左右すると考えられた。

                           (文責:独立行政法人 国立病院機構 鈴鹿病院 岸田 敏嗣)