140回整形外科リハビリテーション研究会報告

2005.02.19 於:名古屋法律経済専門学校

症例1 50歳女性  左上腕骨骨幹部骨折
 転倒にて受傷。
受傷後整復し三角巾バストバンド固定。4日後Kuntscher髄内釘(上下2本横止め)施行し三角巾固定となる。術後翌日よりリハ開始となった。固定性は良好であった。浮腫(+)、肩関節屈曲75°、伸展30°、外転70°、外旋5°、肘屈曲120°、伸展-35°、前腕回外70°であった。橈骨神経に問題はなかった。現在浮腫取り、自動介助ROM訓練、手関節ROM訓練を施工中であった。現在の痛みに対して敏感な症例に対するアプローチ、今後のアプローチ、注意点について討論された。各グループから痛みに対しては再度三角巾使用したりポジショニングを考慮する等疼痛コントロールを行いながら治療すること、深部筋に対する筋活動を行わせることで肘に対するアプローチを行う、stooping訓練を使用する、骨折部に対するストレスを考慮しながらROMを行うこと等が挙げられた。まとめとして林先生から全体的な治療の流れの重要性が指摘された。骨折部に対しては回旋も含めて特に問題がない程度の強固な固定が得られていることから、アプローチに対して物理的な注意点はさほど無い。むしろアプローチの選択に問題があるとの指摘であった。activeな運動は棘上筋に対してストレスがかかる。また三角巾固定も胸郭に固定すると内転位となり同様に棘上筋に対するストレスを発生させる。疼痛としては肩周辺に訴えており、ope侵襲による炎症、受傷機転から予想される侵襲から疼痛を誘発させられる肢位やアプローチが選択されているのではないかと指摘された。時期を考慮して、受傷より2週程度は損傷軟部組織の修復機転が重要で、その時点での物理的ストレスは疼痛誘発は必須のため、局所安静を考慮してアプローチするべきであるとのことであった。具体的には三角巾等を使用して上肢の重力を排除して棘上筋部に対するストレスを無くした状態で完全passiveなstooping訓練を使用して、肩甲骨を操作することでG-H jtを十分に可動性の維持を行う。拘縮は時期的には考えられず、疼痛をコントロールしながら可動性の維持を考慮する。その後徐々に筋活動を加えていきながら最終的に8週程度で受傷前の状態に復帰できるのが完璧な治療と考えられるとの指摘であった。特に今回のようなstanderdな症例では理論的背景の基に最終的な目標を設定した全体を見通した治療計画が立てられ、それに応じた治療が流れの中で行われるよう整理していくことが重要であるとのことであった。時期を理解して各時期に適切な内容を選択できる知識をこの機会に再度確認し整理しておきたい。

症例2  21歳女性  左肘関節MCL断裂
 スノーボードにて転倒し受傷。受傷後約1週は腫れのためシーネ固定。その後腫脹軽減し、ope適ではあったが本人拒否のため保存としてcasting。3週後屈伸freeの内外反制動のbrace装着しリハ開始となった。リハ中はbrace除去して行った。上腕三頭筋、上腕筋、橈側手根屈筋、円回内筋にspasmが認められ、ROMは40°-90°であった。腫れも残存し圧痛も見られた。アプローチとしては浮腫除去、リラクゼーション、ストレッチを中心に行い現在35°-125°であった。今後のアプローチと保存療法での注意点などが検討された。各グループからは時期的に靱帯は6週程度かかることから現在はあまり伸張ストレスをかけたくないため、筋のリラクゼーションや柔軟性の改善、維持を行うこと、特にAOLに対しては時期的に安静が必要と考えられるため、伸展および外反を抑制してPOLを中心とした屈曲を中心にアプローチしていくこと、6週程度の期間が経過してから柔軟性や滑りを出していくことなどが挙げられた。まとめでも同様に時期を考慮した治療計画が重要で、屈曲を早期に獲得させて、伸展は時期が来てからアプローチすること、それまでは筋を中心とした他の軟部組織に対しするアプローチにて柔軟性維持を行う。ope適である症例でも保存となることもありうるので時期を考慮した治療を心がけていくことが重要である。
                           (文責:独立行政法人 国立病院機構 鈴鹿病院 岸田 敏嗣)