145回整形外科リハビリテーション研究会報告

2005.06.18 於:名古屋法律経済専門学校

症例1 72歳 女性 右上腕骨顆上骨折
 
 転倒にて受傷。他院にてpinning施行。入院中はリハ施行していたとのこと。術後10日で担当となる。初診時肘中心に前腕・手指に浮腫認めた。ROMは肘75度で固定。前腕・手関節・手指に制限はなかったものの、対立運動が稚拙で、小指・環指にしびれ感があるとのことであった。現在では肘屈曲100〜110度程度、伸展−45度で、上腕後内側部に圧痛があり、小指のしびれ感は残存していた。今後の治療について検討された。フロアからは浮腫の除去、上腕筋・三頭筋内側頭を中心とした筋の軽い収縮を行う事による柔軟性の改善、関節包・靱帯のストレッチ等が挙げられていた。骨折部がまだ不安定に感じるため過負荷には注意する必要が示唆された。X-pから考えられることとして、肘関節が一塊となって変位していることから内外側側副靱帯については損傷はさほど問題にはならないと考えられた。通常は肘伸展位で遠位骨片は後方に変位することが多いが、今回は骨片が前方に変位していることから、屈曲位で外側から接地して受傷したのではないかと予測された。手術については整復位もさほど問題はなく固定性については不安感はあるもののプレートができなかった可能性もあるので選択枝としては問題はなかったと考えられた。ただ固定性については不十分であることに変わりはないので、ROMを行う時は骨折部をしっかりと把持して骨折部にストレスが加わらないように細心の注意を払って行う必要があることが挙げられた。ADL上は屈曲制限が残らないように優先しながら伸展も行っていくスタンスが確認された。肘頭窩の損傷を考えると治癒過程にて肉芽組織の侵入が考えられることから伸展制限はある程度予測された。逆にその状態で過度に早期からストレスを加えるとテコとなりストレスが増加することも考えられるため注意して行うことも必要である。肘は一般的に異所性骨化が発生しやすいと言われるが、それも含めて方法論に工夫を必要とする部位であることは確かであるため、今後も努力していきたい。
 

                           (文責:独立行政法人 国立病院機構 鈴鹿病院 岸田 敏嗣)