171回整形外科リハビリテーション研究会報告

2008.5.10 於:東桜会館 



症例2 10歳代後半の女性 シンスプリント

 大学駅伝部に所属し、春合宿に参加。合宿の終盤頃より両側脛骨遠位内側縁に疼痛が出現し、両側のシンスプリントと診断された。右脛骨より症状が出現し、徐々に左脛骨にも出現した。初診時の所見として、heel contact時の疼痛を主訴としていること、圧痛は両側の脛骨遠位1/3より遠位の内側縁に認め、後脛骨筋・長趾屈筋・ヒラメ筋には認めないこと、両側の脛骨外彎が強いこと、Ober testは両側ともに陽性、Thomas testは両側ともに陰性、SLRは両側ともに70°、両側における中殿筋の筋力低下、しゃがみ込みでは後方への転倒を認めること、足関節背屈制限に対して距骨を後方へ誘導するテーピングを施行すると走行しやすいこと等が説明された。これらの所見や脛骨のレントゲン写真、フットプリント、前額面からの歩行・走行のビデオより疼痛出現のメカニズムと今後の治療方法について検討された。脛骨外彎による踵骨の外側接地、足関節の背屈制限と骨盤後傾による後方重心での走行が問題ではないかとの意見が出た。フットプリントからは凹足傾向かつ立方骨を中心とした外側縦アーチの低下が示唆された。これらは脛骨が著明に外彎している結果であり、脛骨内側への圧縮応力を増大させている原因になっていると推察された。よって、走行時に脛骨を直立化した状態で踵の後外側から下腿の内旋を誘導することが疼痛軽減につながると考えられた。踵を接地した時点で疼痛が出現していることから、骨盤や体幹など上部の影響よりも、まずは踵接地の状態を改善すべきであるとの意見も出された。頻回の通院が困難なこと、足部の問題を有していること、走行時に使用できること等の理由からインソールを第1選択とすべきではないかとの見解に至った。疼痛を助長するだけでなく、パフォーマンスの低下を来す可能性もあるため、インソールで解決できない場合は骨盤や体幹等の問題についても運動療法を施行したい。アライメントから腓骨筋腱炎など足関節外側の問題の有無についても注意すべき点として挙げられた。問題と考えられる点が複数存在し、様々な治療方針が考えられる症例であるため、所見より病態を十分整理した状態でアプローチを行い、その結果についても確認することが重要であると考えられた。

(文責:伊賀市立上野総合市民病院 猪田茂生)

症例3 19歳男性 左不安定膝
 高校時代に柔道をしており、その頃から腰痛があり足関節捻挫の既往があった。現病歴は、高校時代から膝前面痛が出現しており一ヶ月前から疼痛が増悪したため受診し、理学療法開始となった。主訴は歩行時と階段昇降時の膝前面痛と、歩行時と階段昇降時の
giving wayであった。PT所見としては、Carter徴候が5/5で、膝関節  ROMは左右とも屈曲はfull伸展は+5であった。膝蓋大腿関節摩擦テストは陽性であった。各靭帯ストレステストはlooseだが、抵抗感はあり陰性であったが、脛骨外旋テストは膝関節屈曲30度と90度で共に左側が右側より可動域が大きかった。圧痛所見は膝窩筋と膝関節後外側角部に認めた。McMarryテストは外側で陽性で、歩容は著明なKnee in-toe outで、内側ホイップを認めた。X線所見では荷重位足部側面像はlow archの印象を受けた。歩行時Foot printでも内側縦アーチと横アーチの低下を印象つけるものであった。初回治療時に下腿外旋制動テーピングにて症状の軽減を認めており、その後下腿外旋制動目的でインソールを作成し症状が消失していた。今回は、PT所見と治療内容から病態を考察していくという内容であった。下腿外旋制動にて症状の改善を認めており、Knee in-toe outによりQ-angleの増大がPF関節の運動軌跡を乱してAKPが出現していると言う意見で一致した。しかし、low archであるのに後外側部にパットを貼付したインソールが有効であったことが違和感を感じさせた。報告者からは、AKPgiving wayが合併するケースは非常に稀で、膝の不安定感をどう捉えるかが重要で、膝窩筋の圧痛と下腿の過度な外旋可動性には密接な関係があり、後外側回旋不安定性の存在に気付けるかが重要なポイントであると示唆された。それ故に、インソールではlow archであっても内側縦アーチを持ち上げる型ではなく、下腿外旋制動目的で後外側部にパットを貼付したことが良結果に繋がっていると解説があった。今回は治療内容からある程度病態を考察することができたが、実際の臨床でははじめから答えはなく、問診や圧痛所見や不安定性テストなどから病態を絞り込んでいき、治療内容を導き出していく作業が非常に重要となると思われた。

                      (文責:平針かとう整形外科 岡西 尚人)