242回整形外科リハビリテーション研究会報告

2016.7.16 於:国際医学技術専門学校
            

有痛性外脛骨切除術後より足部の疼痛が顕著に出現し
リハビリ困難な一症例

症例はブラジル出身の37歳の女性である。診断名は、左足足根骨間関節症、左足足根骨間関節内遊離体、両膝変形性関節症である。H21年より左足部内側に疼痛が出現し、左有痛性外脛骨障害と診断され、H232月に他院にて、左有痛性外脛骨切除術をしたが、疼痛が徐々に悪化していた。H268月に当院にて、楔舟関節に存在した関節内遊離体の切除術を行った。楔舟関節の上部で足背を横断するように5㎝程度の術層部があった。しかし、その後も疼痛は改善せず、左下肢への荷重が困難であった。H275月には右足部内側にも疼痛が出現した。H287月疼痛の軽減と歩行の改善のため理学療法の指示が出された。現在のADLは屋外では車椅子、屋内は松葉杖歩行にて自立している。

 左足部は距腿関節を含む足背に広範な疼痛を常時訴えていた。VAS82100㎜である。安静時痛、夜間痛、動作時があり、どの動きに対しても疼痛が足背に出現した。疼痛出現動作は荷重、歩行、足関節自動他動底背屈運動、足指自動他動屈伸運動であった。また、足部に広範な腫脹を認め、皮膚色の変化や冷感が存在した。右足部は足背外側に疼痛の訴えが強く同部位に腫脹が存在していた。舟状骨粗面にも腫脹・圧痛があり、VAS5872㎜であった。右足部の疼痛は荷重時に出現し、踵骨の過回内と内側縦アーチの低下を認めた。治療は足指足関節の運動が疼痛を誘発し困難であったため、疼痛軽減目的での交代浴と患部外トレーニングを行うのみであった。

検討項目として①疼痛の解釈②追加すべき評価③治療の方法をあげた。

疼痛の解釈に関しては、左足部は皮神経由来の疼痛やCRPSの可能性が考えられた。足背を横断する術創部があるため皮神経との癒着が指摘された。また、経過が長いことから皮神経由来の疼痛に始まり現在は拘縮による痛みも出現していると考えられた。右足部は回内不安定性に伴う痛みが考えられた。右足部アライメント不良に加え、左下肢に荷重を掛けられないことが右足部の痛みを助長している可能性が指摘された。

追加すべき評価としては、足関節や足指の位置や皮膚の張りを変化させたうえで足背の痛みがどう変化するか評価すること、足部の各関節固有に原因部位を探していくことなどが挙げられた。右足部の疼痛に対しは、テーピングやパッドを使用してアライメントを変化させ、荷重痛や動作の評価を行うことが挙げられた。治療は、左足部の腫脹に対して足趾足関節の運動が困難であれば弾性包帯での圧迫や下肢の挙上が良いとの意見があった。また、担当医と協議し投薬により疼痛軽減を図ることや、皮神経と周囲の癒着を剥ぐ目的で皮膚のモビライゼーションを行うことが挙げられた。

左足部は、経過が長く疼痛の増減に方向性が乏しいため、早々に症状の変化が得られない可能性はあるが、術創部周囲の皮膚を動かした際に疼痛がどう変化するのかを具に観察し、治療の方向性を探ることが重要である。PTのみでは症状の改善が難しいと思われる症例では、担当医と協議しコンセサスを一致させて治療にあたる必要がある。そのためにも、詳細な理学所見を抽出する技術が必要となるケースと思われた。

(校正者:岡西 尚人)