245回整形外科リハビリテーション研究会報告

2017.1.21 於:国際医学技術専門学校
            


床からの起立にて膝後外側部痛を訴える変形性膝関節症の一例

症例は50歳代の女性である。診断名は左変形性膝関節症である。現病歴は床からの起立にて左膝痛が出現し、当院受診した。X線像では脛骨の外反・外旋・外側偏位を認めた。Kellgren-Lawrence分類はgradeⅠだった。
 
主訴は、床からの起立にて膝後外側部の鋭痛だった。その角度は屈曲60°付近であり、膝外反・外旋していた。起立の際、テーピングで下腿内旋誘導したところ疼痛消失、外旋誘導で増大した。圧痛はファベラ腓骨靭帯、膝窩筋筋腹、膝窩筋腱に認めた。関節可動域テストは股関節外転35°、内転10°、外旋10°、内旋45°、膝関節屈曲155°、伸展0°(健側2°)、足関節背屈0°だった。筋力はMMTにて半腱様筋3、半膜様筋3、中殿筋3だった。外反ストレステストは30°で不安定性を認めた。Dial testSlocum testで前内側回旋不安定性を認めた。McMurray testでは外側半月板、内側半月板ともにclickpainは認めなかった。
 検討項目として①「膝後外側部痛に対する病態解釈」②「膝後外側部痛解釈に必要な評価」を挙げた。

①「膝後外側部痛に対する病態解釈」について。膝窩筋、ファベラ腓骨靭帯の拘縮により膝の屈伸軸は後外側に偏位し、二次的に前内側回旋不安定性を引き起こしたと考えられた。膝後外側の拘縮、前内側回旋不安定性により膝伸展位では外反外旋のアライメントを呈していた。
 
膝窩筋腱は屈曲0°~60°では大腿骨付着部の後方移動に伴い伸張され、屈曲120°以上で大腿骨の膝窩筋腱溝内に腱がはまり込み再び伸張される。膝窩筋は外旋に抗し、屈曲60°で最も伸張される。膝窩筋腱の深層にはpopliteus bursaが存在し、膝窩筋腱の滑走を支えている。
 膝外反・外旋位での起立では膝窩筋腱は屈曲60°にて過度に伸張されることになる。過伸張された膝窩筋腱はpopliteus brusaを強く圧迫する。圧迫が増大したpopliteus brusaが鋭痛を生じていると考察した。
 
テーピングによる疼痛再現により膝窩筋、ファベラ腓骨靭帯の拘縮改善と脛骨内旋に作用する内側ハムストリングスの強化、特に屈曲60°で作用する半膜様筋の強化が大切であると考え、実施した。

 ②「膝後外側部痛解釈に必要な評価」について。フロアからは外側半月板損傷や、外側半月板と膝窩筋腱との癒着による滑走不全があるのではないかと意見を頂いた。外側半月板損傷においてはMcMurray testは陰性であったが、MRI評価、滑走不全の評価には超音波エコーを用いた評価が必要であると意見を頂いた。

(校正者 八木茂典)